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【感想】スマホを落としただけなのに 志駕晃【ネタバレ】

スマホを落としただけなのに 志駕晃の感想です。

 

本書のあらすじはこちら

 

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以下、ネタバレになる内容を含みますので未読の方はお気を付けください。

 

 

 

 

 

タクシーに置き忘れたスマホから物語が展開して、現代の情報化社会の闇を垣間見える作品だった。

なにが怖いのかというと、落とした本人が事件に巻き込まれるだけでなく、本作の場合はその彼女がターゲットになったという点。

友人、知人、仕事関係など、いろいろな人とのつながりが1つの機械に入っていて、インターネットでつながっているという便利さと危うさが同時に存在することに再認識させられた。

 

どんなものやサービスも最初に想定された使い方だけでなく、反対に悪用されることは避けられないことだ。

本書で最も取り上げられるFacebookも最初はハーバード内での出会いをサポートするサービスだったのが発展したもの。

それによって生まれた出会いや、企業のアピールで便利になったり、豊かになったのは確かだ。

しかし、本書の犯人のように個人情報を悪用して不正アクセスをする人も同時に生まれてしまった。

これに関しては法で規制しようにもイタチごっこになってしまい、結局のところ、それを利用する人間の善意に期待するしかないのかもしれない。

 

パスワードは身近な数字を利用している人は多いと思う。

犯人が行ったような方法でスマホのロックを解除されてしまう人はかなり多いのではないのだろうか。

私ももう少しセキュリティの上がるパスワードに変更するべきだと思った。

 

 

本書を読んでいるとそちらばかりに目が行くが、全体のストーリーもとても面白く、のめり込んで一気に読んでしまった。

犯人が麻美にどうやって近づいていくのかばかりに気を取られ、麻美の秘密については全く気付かなかった。

浦野の存在については、怪しさがあったので驚くことはなかったが、麻美の秘密については所々伏線が張られていたので、ミステリーとして注意して読んでいた人は気づいただろうな。

私は小柳が登場しだしたあたりでサスペンスとしての目線になってしまい、考えながら読むことをやめてしまった。

まぁ推理小説ではないのでそれも仕方ないかと自己弁護…。

 

 

麻美の秘密がルームシェアしていた友人との入れ替わりとわかり、富田のショックは計り知れないだろう。

私は裏切りや嘘は許せないタイプなので、麻美に同情することはできなかった。

そもそも自分で蒔いた種なので、自業自得としか思えない。

 

最後は犯人の男も逮捕され、勧善懲悪を望むからには麻美にも報いは受けてほしかった。

 

 

この作品は「このミステリーがすごい!」大賞・隠し玉として世に出たもの。

応募時は粗削りだったとしても、このレベルでもさらに上がいると思うとレベルが高かったんだろうなと思わされる。

また、続編も出ているようだし、シリーズもののようなタイトルの作品も書かれているようなので、ぜひ手に取ってみたいと思う。

 

 

 

 

映画化もされています。

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