【感想】ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。幡野広志
ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。 幡野広志
いつもはミステリーばかり読んでいる私ですが、今回はかなり違うジャンルの本を読んだ。
きっかけは、北海道砂川市で経営されている『いわた書店』さんが行っている、一万円選書に当選したことだ。
一万円選書とは、毎年10月に希望者の応募期間があり、その中から毎月抽選が行われて当選者を決める。
当選者には過去の読書歴などを聞くアンケートのようなカルテが送られてきて、その回答を店主の岩田さんが見て一人ひとりに本を選んでくれるサービスだ。
いわた書店さんのHPはこちら→http://iwatasyoten.my.coocan.jp/
私も昨年応募し、7月の抽選で当選することができた。
残りの抽選回数も少なくなっていたため、半ばあきらめていたので当選のメールはとても嬉しかった。
届いたカルテを記入していく中で、自分のことを伝えようといろいろ書かせていただいた。
自分のこれまでのことや、考え方など雑多な内容で申し訳なかったが、一生懸命じぶんを伝えようと書いた。
その中で、『子ども』というワードを何度もあげていたのでこの本を選んでいただいたのではないかと思う。
また、カルテを返信した際のメールには、私に向けて暖かいメールを送ってくださり、顔も知らない人からの暖かさに胸を打たれた。
まだ本書が最初に読んだので9作残っているが、10作すべてが大切なものになると今の時点で思う。
本作の著者、幡野広志さんは35歳の若さでガンを患われ、余命宣告を受けられている。
また、執筆当時2歳になる息子さんがいらっしゃる状況だ。
そんな中で、息子さんに向けて幡野さんが伝えたい思いを本作に詰め込まれている。
私も2人の息子がいるが、どう付き合っていくべきがとても悩んでいる。
立派に育てないといけないという思いから、きつく当たってしまっているとも思う。
本書の冒頭から優しさについて書かれていて、しっかり育てるには厳しさが必要だと思っていた私は斜に構えて読んでいた。
しかし、幡野さんは自分の考えを読者だけでなく、いつか読むであろう息子さんにも押しつてはいなかった。
ただただ私とは違う一生懸命さで子育てされているだけであった。
親が教えてあげられることはたくさんあると思う。
しつけやマナーや、ルールなど守るべき大切なことはしっかり教えるべきだと思う。そこは本書を読んでも私の意見は変わらない。
ただ一番胸にひっかかったのは、息子たちと向き合っていただろうか。
私が自分の親だったとしてこれでいいのだろうか。
そんな思いを持つようになった。
厳しさはもちろん必要だが、もっと受け入れてあげるべきではないのだろうか。
子育てはこれが正解とはいえるものがないと思う。
だからこそ悩むし、真剣になる。
息子たちに対して、違う視点で考えることができるようになった本書には感謝している。
自慢の父親になりたいとは思わない。
ただただまっすぐに成長してくれることを祈るだけだ。
その手伝いを私なりに出来たら幸せなんだろうと思う。
幡野広志さんのツイッターはこちら